雪降る東岡崎より、こんばんは!

皆さん、こんにちは!
『東岡崎 豚もつ鍋 明月』の藤原です!
本日もお寒い中、たくさんのお客様がご来店されました。
本当にありがとうごさいます!
m(_ _)m
今日は少しだけ、雪がちらついたみたいですね!
僕は地下厨房なので見えませんが、お客様達は、鍋を囲みながら窓から雪を見てたんでしょうか。
雪見酒!
(⌒~⌒)
良いですねぇ~。
明月は、明日は定休日です!
それでは皆さん、お休みなさいませ!
( ̄∀ ̄)

チャコの世界と、ほうれん草の男④

                                   



 

 でもまあ考えるのはよそう。

 ほうれん草の男。それも悪くはない。

 僕は身体こそ華奢ではあるけど、力だって人並み以上にある自信はあるし、実のところ腕に覚えもある。それにほうれん草だってまずまず好きな方だ。

 僕は力強くチャコの横に並び、パイプを吹かす真似事をした。シャツの腕を捲りズンズンと歩いて行くと、チャコは楽しそうにころころと笑った。

「いいぞ、いいぞ!」

 しばらく歩き、促されるままに電車を乗り、また少し歩くとチャコの部屋はあった。

 いきなり部屋ですか?戸惑いつつも結局上がり込んでしまった。


 あまり装飾のない殺風景な室内。それでも所々に置かれている小物は女の子らしいものばかりだった。ただ少し気になるのは壁にある拳程の穴と、他の部屋とは形の違うドアだ。

 でもまあ個性的なチャコからすれば、違和感と呼べるほどのものでもない。


 僕は小さなテーブルの前に座らされ、その夜は数時間の間DVD観賞をさせられることになる。もちろんほうれん草の男のアニメで、驚いたのは実写版が存在することだった。

 と、まあこれが僕とチャコとの一日目だ。仲間達の期待する出来事なんて何もない。ほうれん草の男としての心構えを叩き込まれただけに過ぎない。


チャコの世界と、ほうれん草の男③

                     『ほうれん草の男として』



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 うまく飲み会を抜け出しはしたものの、一番手で消えた二人を仲間達は何と噂するだろうか。


 実際音さえしないが、まるで伝わってくる足音。ズンズン。

 時々僕に振り返り、勝ち誇ったかのように笑い掛ける。

「さぁ元気を出して!そんな事ではほうれん草の男にはなれないぞぉ~っ!」
「ぞぉ~」

 とりあえず気の抜けた気合いを入れつつ僕は従うことにした。


 それにしても僕はほうれん草の男になりたいのか?

 そんなことを頭に巡らせながら歩く僕の前を、意気揚々とチャコは歩いている。

チャコの世界と、ほうれん草の男②

          



                                  


 誰にでもというものはある。

 それはチャコにしたところで同じで、彼女は彼女なりの陰を引きずりながら生きているのだ。

 僕の最初に犯した大きな間違い。

 それはチャコがどころか、悩みすらしないと勝手に決め込んでしまったこと。

 チャコは初めから、僕に守ってほしいと言っていたにも関わらず。

チャコの世界と、ほうれん草の男①

                    『チャコの世界』



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飲み会の席。

面子紹介のあと揚げ出し豆腐に手を伸ばす僕に、今しがた初めて合ったばかりのチャコが唐突に叫んだ

「ほうれん草の男!」

 僕は揚げ出し豆腐に伸ばし掛けた手を諦め、隣にちょこりと座るチャコの方を見遣った。

「だから、ほうれん草の男よ知らないの?」
「もちろん知ってるよ」

 それから僕はアメリカのアニメに出てくる船乗りについて知っている限りの知識を披露した。彼がいつもパイプをくわえていること。か細い女性をあらゆる危機から助け出すこと。それに、ほうれん草を食べると誰にも負けないパワーを得られること。
 僕はさらに続け

「その男はどんな窮地に陥ったって、ほうれん草さえあれば、必ず解決できるんだ」

 チャコは僕の顔を不思議そうに覗き込み、でも何かに決着でもつけるように力強く頷いた。

「あなた合格よ!今日からほうれん草の男!」

 今度は僕の方が呆然とチャコの顔を見つめた。

 そんなのお構いなしにチャコは続ける。

「あなたは今日から私を守るの。それがほうれん草の男の使命よ
「ちょっと待った!何のこと?まだ初めて顔を合わせて三十分も経ってないよ。」
「それって問題?」
「大問題だよ!いきなり私を守れって
「無理?」
「無理とかそう云うんじゃなくて…、何というか… ほうれん草食べても僕は強くはなれないし・・・。

 僕自身にとっても、まったく訳の分からない弁解だった。でもそれがチャコの世界だ。
 かくして僕は、揚げ出し豆腐を諦め、ビールの酔いもままならないまま、チャコの世界に引き寄せられて行くことになる